教員免許更新講習

数学とその発展

 

通信教育科目の解説と資料

 

 (2) 幾何的問題の理解と活用(レポート作成を含む)

和算では利息計算などの単なる計算問題もありますが、図形と関連した問題が多く扱われています。ここでは、和算とは少し毛色が違う幾何の問題を取り上げてみます。

広島県の第1回高校数学コンクールの問題の中に、「周囲の長さ一定のn角形の中では、正n角形が面積最大である。」ことを示すという問題がありました。(この種の問題を等周問題といいます。対面講習のときにも触れる予定です。)n=3の場合は、高校数学で簡単に解けるので、解答を作ってください。そして、講習日にレポートとして提出してください。

筆記試験で、この問題も出す可能性がありますので、ご注意ください。このままの形で、大学入試問題に採用される可能性は低いので、あまり関心は高くないかも知れませんが、一度はきちんと考えていただきたい問題です。ついでながら、このような問題は和算では当たり前という認識はあったかも知れませんが、問題として提出されることはなかったようです。

ヒントが必要なら、まずは、一辺の長さが与えられた場合、残りが等辺の場合であることを示して、1変数の極値問題に帰着するという方針で考えてください。中学1年生にも分かるような解答もあるようですが、そこまで頑張っていただく必要はありません。

対面講習では、最大値を与える三角形の存在を仮定すれば、議論がもっと簡単になるが、そのような存在は自明だろうかということを考える予定です。

もっと、面白いあるいは難しい問題をやりたいという方は、四辺形で各辺の長さが与えられているとき、面積最大を与える条件は何かを考えてください。これも有名な問題です。三角形の等周問題の代わりに、こちらの問題の解答をレポートしていただいても結構です。