広島大学理学部数学科 代数数理講座

2017年度の代数学セミナー

開催場所は広島大学理学部 B 棟 B701号室です。
通常の講演時間はおよそ 1 時間半です。

今後の予定

1124(金)16複素解析セミナーとの合同開催です。いつもと時間が違います。
佐野 太郎 氏(神戸大学)
Effective non-vanishing for weighted complete intersections
滑らかなn次元射影代数多様体X上の正則n-形式のなす線束は標準束と呼ばれ、X上の豊富線束Lとのテンソル積により、随伴束と呼ばれる線束が得られる。随伴束は双有理幾何学で重要な役割を果たし、これがネフである場合には、何倍かすると大域切断により生成され、特に0でない切断を持つ。随伴束そのものが0でない切断を持つか、という効果的非消滅問題は重要であるが、高次元の場合には未解決である。本講演では、この問題を重み付き完全交差という特別な代数多様体について考えて得られた結果を述べる。重み付き完全交差の導入から始め、また証明において重要となる``regular pair''という整数の組に関する概念も紹介する予定である。

これまでの記録

421(金)15
鈴木 航介 氏(広島大学・日本学術振興会特別研究員PD)
高次収束を達成する多次元数値積分法
多次元関数の数値積分法として、 一様ランダムにとった点集合上の関数値の平均を近似値とするモンテカルロ法がよく知られているが、 その収束速度は十分に速いとはいえない。 そこで、より高速な収束を達成するために用いるのが、 超一様な点集合を使う準モンテカルロ法や、格子を用いるFrolov積分則である。 本講演では、古典的な一様性を測る尺度であるdiscrepancy、 格子やその類似物を用いた点集合の構成法などを、 最近の結果を交えて紹介する。
62(金)15
福田 寧彦 氏(広島大学 D2)
K3曲面の正標数への還元とPicard群
次の論文の紹介をする:R. M. van Luijk, "K3 surfaces with Picard number one and infinitely many rational points", Algebra and Number Theory, Vol. 1, No. 1 (2007), 1-15.
616(金)15
當山 凜 氏(広島大学 D2)
高次ナッシュ爆発とA3特異点
Andres Duarte氏のToulouse大学での博士論文"Nash modification on toric surfaces and higher Nash blowup on normal toric varieties"からいくつかの結果を紹介する。正規トーリック多様体の高次ナッシュ爆発は再びトーリック多様体になる。氏は、この高次ナッシュ爆発の正規化に、組合せ論的な表示を与えた。更にその表示を用いてナッシュ爆発に関するNobileの定理の類似を証明し、また高次ナッシュ爆発におけるA3特異点の「悪い」振る舞いを観察した。本講演ではこれらの結果を紹介する。
623(金)15
桔梗 宏孝 氏(神戸大学)
Model theory, p-adic and motivic integration
言語をうまく選ぶと、「任意」や「存在」を使って定義される集合も基本的な関係式や不等式などのブール結合だけで表現できるようになることがある。これを量化記号消去(quantifier elimination)と呼ぶ。Denefはp進閉体に対するMacintyreの量化記号消去定理を利用して、定義可能集合に対してcell分解と呼ばれる分解が可能になることを示し、cellごとに考えることによって、ポアンカレ級数の有理性を一般的に証明した。この方向で、DenefとLoeserはKontsevichによるmotivic integrationのモデル理論的な定式化も与えている。これらの概要を解説する。
728(金)15
金沢 篤 氏(京都大学)
Calabi-Yau多様体の退化とミラー対称性
ミラー対称性とは超弦理論に由来する数学的現象で、あるCalabi-Yau多様体Xの代数幾何と別のCalabi-Yau多様体Yのシンプレクティック幾何が同値になることを指します。さらにこれはFano多様体とLandau-Ginzburg模型の双対性にも拡張され、特異点理論や行列因子化等との繋がりが近年発見されました。本講演ではミラー対称性の紹介から始め、Calabi-Yau多様体のFano多様体への退化に関するDoran-Harder-Thompson予想の部分的解決(講演者の結果)について概説します。
106(金)15
阿部 紀行 氏(北海道大学)
q=0におけるプロp岩堀Hecke環の既約表現の間の拡大について
一般にp進群の表現論においては,開コンパクト群に付随するHecke環の表現論が活躍するが,表現の係数がpである,いわゆる法p表現の場合には,プロp岩堀部分群と呼ばれる開コンパクト群に付随するHecke環が重要な役割を果たす.そのHecke環の既約表現の分類と,既約表現間の拡大の計算について話をする.