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結晶基底の多面体表示について

中島 俊樹 上智大学理工学部数学科

I は finite index set (simple root の index set) とし、 $(a_{i,j})_{i,j\in I}$ は symmetrizable GCM、 $\hbox{\germ g}$ はそれに 付随して決まる Kac-Moody Lie algebra、 $\{\alpha_i\}_{i\in I}$ は simple roots, $\{h_i\}_{i\in I}$ は coroots とし、 $a_{i,j}=\langle h_i,\alpha_j\rangle$を満たすものとする。 P は weight lattice P* は dual weight latticeとする。 量子群 $U_q(\hbox{\germ g})$ei, $f_i(i\in I)$, $q^h(h\in P^*)$ で生成される $\hbox{\bf Q}(q)$-algebra とする。 ここで、次のような4種類の crystal (base) を取り扱う: (1) $R_{\lambda}:=\{r_{\lambda}\}$ ( $\lambda\in P$), (2) $B_i:=\{(n)_i\,\vert\, n\in\hbox{\bf Z}\}$ ($i\in I$), (3) $U^-_q(\hbox{\germ g})$ の crystal base $(L(\infty),B(\infty))$, (4) 既約 highest weight module $V(\lambda)$ の crystal base $(L(\lambda),B(\lambda))$.

(4) の $B(\lambda)$ を具体的に記述することを目指す。 さて、任意の $i\in I$ に対して次のような crystal の embedding が唯一つ存在する: $\Psi_i : B(\infty)\hookrightarrow B(\infty)\otimes B_i,$ $(u_{\infty} \mapsto u_{\infty}\otimes(0)_i).$index の 無限列 $\iota=\cdots,i_k,i_{k-1},\cdots,i_2,i_1$ は どの index の元も無限個含むものとして、 この無限列に従って上の embedding を iterate して、 次の crystal の strict embedding (Kashiwara embedding) を得る:

\begin{displaymath}\Psi_{\iota}:B(\infty)\hookrightarrow \hbox{\bf Z}^{\infty}
:...
...n\hbox{\bf Z}
\,\,{\rm and}\,\,a_k=0\,\,{\rm for}\,\,k\gg 0\},
\end{displaymath}

さらに、次のような crystal の strict embedding が存在する: $\Phi_{\lambda}:B(\lambda)\hookrightarrow B(\infty)\otimes R_{\lambda}.$これら2つの embedding を合成して次を得る:

\begin{displaymath}\Psi^{(\lambda)}_{\iota}:=(\Psi_{\iota}\otimes{\rm id})\circ
...
...}^{\infty}\otimes R_{\lambda}=:\hbox{\bf Z}^{\infty}[\lambda].
\end{displaymath}

そこで、この embedding による $B(\lambda)$ の exact な image を 以下のようにして記述してみる。 $\hbox{\bf Q}^{\infty}$ を次のような infinite dimensional vector space とする:

\begin{displaymath}\hbox{\bf Q}^{\infty}:=\{\vec{x}=
(\cdots,x_k,\cdots,x_2,x_1)...
...\hbox{\bf Q}\,\,{\rm and }\,\,
x_l=0\,\,{\rm for}\,\, l\gg0\}.
\end{displaymath}

すると、 $\hbox{\bf Z}^{\infty}[\lambda]$ $\hbox{\bf Q}^{\infty}$ の lattice point 全体と同一視される。 ここで上のような無限列 $\iota=(i_k)_{k\geq1}$ を fix しておく。 $k\geq1$ に対して k(+)l>kil=ik となる最小のもの、 k(-)l<kil=ik となる最大のものか、存在しないときは k 自身とする。 無限列 $\iota=(i_k)$ に対して 次のような $\hbox{\bf Q}^{\infty}$ 上の linear form を考える:

\begin{eqnarray*}\beta^{(+)}_k(\vec{ x}) & := &
x_k+\sum_{k<j<k^{(+)}}
\langle h...
...angle h_{i_k},\alpha_{i_j}\rangle x_j+x_k& if $k=k^{(-)}$ . \cr}
\end{eqnarray*}


ここで次のような piecewise linenar operator を定義する: $k\geq1$ と linear form $\varphi(\vec{x})=c+\sum_j\varphi_jx_j$ ( $c,\,\varphi_j\in \hbox{\bf Q}$) に対して

\begin{displaymath}S_k\,\varphi(\vec{x}):=\cases{
\varphi(\vec{x})-\varphi_k\bet...
...{x})-\varphi_k\beta^{(-)}_k(\vec x) & if $\varphi_i\leq 0$\cr}
\end{displaymath}

とする。 $j\in I$ に対して、 $k_j\in\hbox{\bf Z}_{\geq1}$ik=j を満たす最小の番号 k とする。 ここで、$i\in I$ に対して $\lambda^{(i)}(\vec x):=-\beta^{(-)}_{k_i}(\vec x)$とおく。

無限列 $\iota=(i_k)$ に対して

\begin{eqnarray*}\Xi_{\iota}[\lambda] &:= &
\{S_{j_l}\cdots S_{j_1}x_{j_0}\vert ...
...geq0 \,\,{\rm for\,\, any }\,\,\varphi\in \Xi_{\iota}[\lambda]\}
\end{eqnarray*}


とおく。 embedding $\Psi_{\iota}^{(\lambda)}$ の exact な image $\Psi_{\iota}^{(\lambda)}(B(\lambda))$ が次のように記述される: Theorem. $\Sigma_{\iota}[\lambda]\ni\vec 0=(\cdots,0,0)$ ならば、 $\Psi_{\iota}^{(\lambda)}(B(\lambda))=\Sigma_{\iota}[\lambda]$ である。

ここで $\Sigma_{\iota}[\lambda]$$\iota$ に付随した $B(\lambda)$polyhedral realization (多面体表示)と呼ぶ。 現在、任意の rank 2 の Kac-Moody algebra, $\hbox{\germ sl}_n$, $\widehat{\hbox{\germ sl}}_n$ などに対して、 $\Sigma_{\iota}[\lambda]$ がわかっている。

実は、$\iota$ の取り方によっては 上の方法が 適用できないものがあることが、わかっている。 そこで、少なくともsemi-simple の場合に、この問題を 回避することを 可能にするものが、braid-type isomorphism である。 これは、上の BiBj ($i,j\in I$) について $\langle h_i,\alpha_j\rangle\langle h_j,\alpha_i\rangle\leq 3$という条件(つまり、rank 2 の finite type) のもとで、 $B_i\otimes B_j\otimes\cdots\cong B_j\otimes B_i\otimes\cdots$という同型が存在していることを保証し、$\iota$を自由にならべかえることを可能にする。これによって、 semi-simple の場合は $\Psi^{(\lambda)}_{\iota}$の image が対応する Weyl 群の最長元の長さを rank にもつ finite $\hbox{\bf Z}$-lattice の中で得られることもわかるのである (そのとき、$\iota$ も最長元のある最短表示に対応している)。

また最近、多面体表示と Demazure module や extremal vector といったものとの関連も見出された。



 
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Tohru Okuzono
1999-06-03