next up previous
Next: About this document ...

写像の微分とベクトル場の積分



西 村 尚 史


(横浜国立大学教育人間科学部)



$C^\infty$ 級写像たちの局所的様相を比較したい. 局所的考察なので,

対象は, $C^\infty$ 級写像芽 $f,g : ({\bf R}^n,0)\to ({\bf R}^p,0)$


であり,比較に使う

同値関係は, 適当な $C^\infty$ 級座標変換により一致する,すなわち,
$
\exists\; C^\infty \mbox{ 級微分同相芽 }
s : ({\bf R}^n,0)\to ({\bf R}^n,0),
t : ({\bf R}^p,0)\to ({\bf R}^p,0)$
$\mbox{ such that }
f\circ s(x) = t\circ g(x)
$


であるとする.この同値関係は ${\cal A}$-同値(あるいは,右左同値) と呼ばれる. 次の基本的問題(recognition problem と呼ばれる)を考える.


[問題]     与えられた二つの $C^\infty$ 級写像芽 が ${\cal A}$-同値かどうか 判定せよ.


どちらか一方の写像芽(の原点におけるヤコビ行列) がフルランクであれば完全に決定できる,ということが陰関数の定理から わかるし,どちらか一方の写像芽が線形であれば完全に決定できる, ということが階数定理(rank theorem)からわかる.しかし,これらの場合を除外し, どちらの写像芽も非線形であり,しかも,原点が特異点となっている場合 に対しては,成熟した感のある「可微分写像の特異点論」と言えど, 特別な場合を除き,有効な方法を用意していなかった と言える.


この講演では,上記の問題に対し肯定的解答を与える, 初等的かつ構成的(従って計算が比較的容易)であり,しかも, 統一的な判定法を具体例付きで紹介する.


詳細はすべて以下に説明してあるので,もしも興味を持っていただけたら こちらをお読み下さい.


T. Nishimura, Criteria for right-left equivalence of smooth map-germs, Topology, 40(2001), 433-462.





Tohru Okuzono
2001-12-11