●●● 談話会 ●●●

2008年度

第1回

日時: 4月15日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:松田浩 氏(広島大学大学院理学研究科数学専攻)
題目: One-step Markov Theorem on exchange classes
Tea Time: 14:00 -
要旨:
The exchange move on closed braids was discovered by Markov, proved unnecesssary by Weinberg, and re-discovered by Birman and Menasco. The number of exchange classes, conjugacy classes in B_n modulo exchange moves, is finite for every link type and for every n. In this talk, we construct finite pairs of explicit link diagrams that show how two exchange classes are related if they correspond to one link type. As an application, we find a new link invariant, the algebraic crossing number of a minimal braid, giving an affirmative answer to a question posed by Jones.

第2回

日時: 4月22日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:青木貴史 氏(近畿大学理工学部理学科)
題目:Stokes幾何入門
Tea Time: 14:00 -
要旨:
大きなパラメータを持つ微分方程式の解の大域的性質を完全WKB解析の手法を用いて研究する際、Stokes曲線と呼ばれる曲線が重要な役割を果たす。Stokes曲線の幾何学的性質が微分方程式の大域解析と結びつく。2階Fuchs型線型常微分方程式の場合を中心に、これらについて概説する。

第3回

日時: 5月20日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:庄司功 氏(筑波大学 大学院システム情報工学研究科)
題目:ボラティリティのノンパラメトリック推定について
Tea Time: 14:00 -
要旨:
金融時系列の分析では、ボラティリティ(分散または標準偏差)の推定が重要である。実際、ボラティリティは不確実性を表す尺度として、金融実務でもしばしば用いられている。しかし、例えば、データに標準的な時系列モデルを当てはめて、その残差プロットを見てみると、ボラティリティが大きい部分や小さい部分が散在し、時間と共に変動している様子が窺われる。こうしたボラティリティの時間変動をモデル化する様々な試みがあるが、今回は、ボラティリティの関数形を予め特定することなく、データからそれを推定する方法について説明する。

第4回

日時: 5月27日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:佐藤周友 氏(名古屋大学 大学院多元数理科学研究科 )
題目:p進数体上の多様体の0サイクルの有限性について
Tea Time: 14:00 -
要旨:
コンパクトリーマン面の因子類群は経路積分によってヤコビ多様体 と呼ばれるアーベル多様体と同型になる。これが古典的なアーベル の定理であるが、複素数体上の代数曲面の0サイクルのチャウ 群で類似を辿ると状況はもっと複雑になることが1970年代に マンフォードによって明らかにされた。この講演ではこれらの事実 の概説に始まって、p進数体上の代数多様体での類似に関する 最近の進展について紹介する。

第5回

日時: 6月3日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:Ser Peow Tan 氏(National University of Singapore )
題目:On the SL(2,C) character variety of the one-holed torus
Tea Time: 14:00 -
要旨:
The SL(2,C) character variety of the one-holed torus has rich connections with various branches of mathematics including hyperbolic geometry, Teichm\"uller theory, low dimensional topology, dynamical systems and mathematical physics. We will talk about some of the analytic, geometric/topological and dynamical aspects of this subject, and survey some of the recent results obtained by various authors including Bowditch; Akiyoshi, Miyachi and Sakuma; McShane; Goldman; and work of the speaker with Wong and Zhang; and Sakuma and Yamashita.

第6回

日時: 6月24日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:石川昌治 氏(東北大学)
題目:多様体のオープンブック分解と接触構造について
Tea Time: 14:00 -
要旨:
3次元多様体のオープンブック分解と両立する接触構造という概念は W.P.Thurston と H.Winkelnkemper により導入され、Y.Eliashberg や E.Giroux らの研究を経て、オープンブック分解の研究における一つの道具として定着した。 複素多項式写像の特異点のリンクには自然な接触構造が定まる。また、平面曲線 特異点の場合には、そのミルナー束は 3次元球面上の tight な接触構造と両立 することが知られている。講演では、特異点のトポロジーを研究している立場と して接触構造に興味持つ動機と、オープンブック分解と接触構造に関する最近の 研究について概説したい。

第7回

日時: 7月29日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:Xiuxiong Chen 氏(ウィスコンシン大学)
題目:On the space of Kaehler metrics
Tea Time: 14:00 -
要旨:
On the infinite dimensional space of Kaehler metrics, Mabuchi, Semmes and Donaldson introduce a Weil-Peterson type metric. Under this metric, this space becomes an infinite dimensional symmetric space of non-compact type with semi-negative curvature. Donaldson made several important conjectures concerning the geometric structure of this space; and the resolution of these conjectures of Donaldson has important consequences on Kaehler geometry. For instance, the well known problem of uniqueness of "best metric" in each Kaehler class is settled in recent years through this and related program. In this lecture, I will give an expository account of this program as well as some recent updates on Kaehler geometry.

第8回

日時: 9月2日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:Eberhard Knobloch 氏(ベルリン工科大学)
題目:Leibniz's theory of elimination and determinants
Tea Time: 14:00 -
要旨:
From 1678 forward Gottfried Wilhelm Leibniz (1646-1716) occupied himself with 'a new type of notation' (novum designationis genus) which would prove to have great benefit in the analytical and combinatorial art. Apart from two hidden references made by him in 1700 and 1710 Leibniz never published anything about his related researches. Nobody could guess that, in reality, Leibniz laid the foundation of the theory of determinants in Europe between 1678 and 1713. The 68 most important, Latin written studies regarding elimination and determinant theory were published in 1972, 1974, and 1980, respectively. Since then, historians of science came to realize, at least to some extent, what Leibniz had achieved in this field. His interest in the solution of systems of inhomogeneous, linear equations was essentially motivated by his conviction that the solution of the quintic equation could be reduced to the solution of such systems. To that end he invented a suitable index notation, coined the term 'resultant', invented a symbol for this resultant, formulated basic general theorems about resultants, and deduced important results in elimination theory. In January 1684, Leibniz found the completely correct so-called 'Cramer's rule' for solving systems of linear equations. He anticipated important results that were re-discovered by J. J. Sylvester, L. Euler, and E. Bzout only decades later.

第9回

日時: 10月14日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:Sungbok Hong 氏(Korea University)
題目:Smale conjecture for elliptic 3-manifolds
Tea Time: 14:00 -
要旨:
Smale proved that for the standard 2-sphere $S^2$, the inclusion of the isometry group $O(3)$ into the diffeomorphism group $Diff(S^2)$ is a homotopy equivalence. He conjectured that the analogous result holds true for the 3-sphere. The conjecture was proved by Hatcher. Gabai proved Smale conjecture also holds for closed hyperbolic 3- manifolds. We will discuss about Smale conjecture for elliptic 3-manifolds.

第10回

日時: 10月28日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:熊谷隆 氏(京都大学)
題目:Sierpinski carpet上のブラウン運動の一意性について
Tea Time: 14:00 -
要旨:
複雑な系の上で熱がどのように伝わるか、という問題を解明するため、80年代 以降、複雑な系の典型例であるフラクタル上に自然な拡散過程(慣例に従いこれ をブラウン運動と呼ぶ)を構成し、その性質を調べる研究が進んできた。フラク タル図形上の拡散過程は、フラクタルを近似するグラフや多様体の上に自然に作 られるランダムウォークやブラウン運動のスケール極限として構成されるが、こ のスケール極限が一意に定まる保証は何もない。典型的なフラクタルの一つであ るSierpinski carpetについて、この一意性の問題(別の言い方をすればブラウ ン運動の特徴づけの問題)は、長い間当該分野の基本的な未解決問題であった。 本講演では、この問題を肯定的に解決した、講演者と共同研究者の最近の結果に ついて報告する。問題の背景や解決を困難にしてきた理由なども紹介し、全体像 が分かるように工夫したい。 

第11回

日時: 11月11日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:小島定吉 氏(東京工業大学)
題目:3次元多様体のトポロジーと幾何 ーポアンカレ予想と幾何化予想の解決ー
Tea Time: 14:00 -
要旨:
G. Perelman によるポアンカレ予想および 幾何化予想の解決の概要を紹介する.

第12回

日時: 11月25日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:山田裕史氏(岡山大学)
題目:シューア函数とともに四半世紀
Tea Time: 14:00 -
要旨:
広島大学の大学院生であった頃に,佐藤幹夫先生のKP理論の講義を聴き,タウ函 数としての「シューア函数」に触れてから25年以上が過ぎた.そして私も年を とった.ヴィラソロ代数の特異ベクトル,アフィンリー環のウエイトベクトル 等々,シューア函数は様々な場面に顔をのぞかせる.談話会では私が実際に触っ たシューア函数について,個々の思い出とともに語りたい.特に最近の仕事であ る「多項式環の混合基底」について詳しく話そう.そして現在はシューア函数の モジュラー版に興味を持っている.まだ理論になっていない初期段階の実験結果 についてもお話ししたいと思っている.気軽に聴いていただきたい.

第13回

日時: 12月9日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:藤家雪朗氏(兵庫県立大学) 
題目:バリアトップでのWKB解の接続と準古典散乱問題への応用
Tea Time: 14:00 -
要旨:
シュレディンガー方程式 $$ -h^2\Delta u+V(x)u=zu $$ を考える。この方程式 は $p(x,\xi)=|\xi|^2+V(x)$ をハミルトニアン(全エネルギー)とする古典力 学系と対応している。$h$ (プランク定数)を小さな漸近(準古典)パラメータ とみなして 0 に近づけたときのシュレディンガー方程式の解の漸近的振る舞い を、古典力学系の幾何学的量で表現するのが準古典解析である。$h$ に関する漸 近解を WKB 解という。WKB 解は漸近解であるが故に古典力学系のコースティッ クや不動点で特異性を生ずる。ここでは特に、ポテンシャルの極大点(双曲型不 動点)の近傍でどのようにWKB解を接続するかを概説し、その散乱問題への応用 を述べる。

第14回

日時: 1月13日(火),13:00 - 14:00
場所:大学院理学研究科 B707号室
講師:盛田健彦 氏(広島大学)
題目:連分数変換の一般化とその力学系ゼータ関数
Tea Time: 14:00 -
要旨:
 およそ8年ほど前の談話会で Renormalized Rauzy inductions and Teichm\"uller closed geodesisという題目で話をさせていただきました.今回の話の内容のかなりの部分はそのときのものと重なっています.
 1次元変換 $T_{G}: (0,1]\to (0,1]$ $T_{G}x = \frac{1}{x}-\left[\frac{1}{x}\right]$ は,数 $x\in(0,1)$ の連分数展開のアルゴリズムを与えており連分数変換(ガウス変換)とよばれています.一方,1次分数変換の群 $PSL(2, \Bbb{R})/\{ -I, I \}$ はポアンカレ計量に関する等長変換群として複素上半平面 $\Bbb{H}=\{ z\in \Bbb{C} : \text{Im }z >0 \}$ に作用し,その部分群であるモジュラー群 $\Gamma_1 = PSL(2, \Bbb{Z})$ の作用による商空間 $M_1 = \Bbb{H}/ \Gamma_1$ はモジュラー曲面と呼ばれています.モジュラー曲面は,分岐点をもつことを許した意味でリーマン面になっています.連分数変換の2回合成 $T_{G}^{2}$ の周期軌道 $PO(T_{G}^{2})$,モジュラー曲面上の測地流の閉軌道 $CG(M_{1})$,モジュラー群の原始的双曲元の共役類 $HC(\Gamma_{1})$ の間には,自然な 1:1 対応があり,$\Gamma_{1}$ のセルバーグゼータ関数を1次元力学系 $T_{G}^{2}$ に関する転送作用素族のフレッドホルム行列式として書き表わすことができます.この事実の一般化としては次の2つの方向が考えられます.
 第1の一般化は,すべての解析的有限な双曲的リーマン面が上半閉面を第1種フックス群 $\Gamma < PSL(2, \Bbb{R})/\{-I , I \}$ の作用で割ることで得られることに注目して,$M_1$ を一般の解析的有限なリーマン面にするというもので,第2の一般化は,$M_1$ を単にリーマン面として見るのではなく種雛 $1$ の閉リーマン面のモジュライ空間として捕らえ,種数2以上のモジュライ空間を扱おうというものです.
 談話会では,第1の一般化においてはある種のマルコフ写像が連分数変換の役割を果たす変換であることから始め,第2の一般化の困難さについても最近の話題も含め紹介してみようと思います.

2007年度以前


Date: 2008.4.4
談話会委員長 島田, 作間, 吉野, 柴田, 高橋

大学院理学研究科数学専攻