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数学は古代から現代にいたる人類の歴史とともに発展してきました.その1つの源泉は,古くは計測技術等,また近代においては物理学等との交流に代表される現実の問題あるいは諸科学への応用にありますが,それと同時に純粋な知的探求心や美への憧れに基づく多くの数学者の情熱もまた数学の進歩を支えてきました.
数学の発展は,具体的にはいろいろな問題の解決という形でなされることが多いのですが,その過程で既存の理論の整備や新しい視点の導入による新理論の構築が行われ,いろいろな問題を統一的に取り扱うことが可能になり,新しい問題が創出され,さらなる展開が促されてきました.例えば,多くの数学者が夢みた5次方程式の解法の探求は,その否定的解決にもかかわらず,現代数学の基盤の1つであるガロア理論を新たに産みだしました.同様に,フェルマー予想(1994年に証明された)やリーマン予想といった難問を解決するための努力も,副産物として多くの新しい理論や手法の導入を促しました.これらの現代数学における諸理論は,人間の叡知の象徴という側面もありますが,それだけではありません.美しい理論は必ず普遍性を持つもののようです.相対性理論におけるリーマン幾何学のように,主に数学の自己発展の中で生まれた理論が,後になって他分野への画期的な応用をもたらした例も数多くあります.
また一方,数学と諸科学の直接的関わりも近年さらに色濃くかつ幅広くなりつつあります.例えば,宇宙の誕生・構成,原子・分子レベルのミクロの世界の科学,生命科学,コンピュータを中心とする情報科学など,いずれも著しい発展を遂げていますが,それらの基礎および指針として数学は重要な役割を果しています.また逆に,数学はこれら諸科学における数理的解明から常に新しい問題や方法を吸収し発展をし続けています.
広島大学理学部数学科は,組織を支えるスタッフにも,蔵書・コンピュータなどの教育・研究環境にも恵まれており,この様に多面的な現代数学の学習と研究を行うのに格好の場であります.また大学院においては数学専攻があり,わが国の教育・研究の分野に多くの優秀な人材を送りだしています.なお,1999年度より大学院に数理分子生命理学専攻が創設されました.両専攻において私達スタッフは若い人たちの教育,研究指導に熱心に取り組んでいます.
私達は,広島大学理学部数学科で学ぶ数学がどのようなものか,数学科の設備にはどのようなものがあるのか,卒業後の進路はどうなっているのか,在学生・卒業生がどう感じているかなど幅広く知っていただくためにこのパンフレットを作成致しました.多くの若い人たちが広島大学理学部数学科で学ばれることを望んでいます.

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