2009年度


2009 年 12 月 11 日:

講演者:早川 和彦 氏 (広島大・社会科学研究科)

講演題目:Lag Order Selection in Dynamic Panel Data Models

講演要旨:

本報告では自己回帰パネルデータモデルにおけるラグ次数の選択方法のパフォーマンスをシミュレーションで比較する.より具体的には一般化モーメント法(GMM) 推定量に基づいた過剰識別制約検定(J 検 定)と t 検定をそれぞれ逐次的に行う方法,GMM 推定量に基づいたモデル選択基準を使う方法,(時間があれば) LASSO type GMM 推定量を用いたモデル選択方法を比較する.

2009 年 11 月 13 日:

講演者:佐藤 健一 氏 (広島大・原爆放射線医科学研究所)

講演題目:経時的に観測されたデータに対する回帰分析の紹介 〜最終時点のみの解析から途中経過も含めた解析へ

講演要旨:

データの観測環境および測定環境の整備と電子化にともない医学・生物学 分野を中心に,繰り返し測定データおよび計測時間の情報も付与された経時測定 データが記録される機会が増え,その解析の重要性が高まってきている.従来の 観測終了時点のみのデータを用いた評価に代わって途中経過データも利用するこ とで,より詳細な評価が可能となる.本発表では,3時点で観測された2値反応 データによる新薬の評価を例として,その効果の視覚化および検定などについて 説明する.

2009 年 10 月 23 日:

講演者:清水 裕暁 氏 (広島大・理学研究科)

講演題目:Asymptotic expansions for a class of tests for a general covariance structure under a local alternative

講演要旨:

本講演では,共分散構造に関する仮説検定問題を考える.Wakaki,Eguchi and Fujikoshi (1990) は一般的な共分散構造に関する仮説検定問題において,尤度比検定,スコア検定,Wald 検定を含むような検定統計量のクラスを提案し,このクラスに含まれる検定統計量の帰無仮説における分布の漸近展開公式を導出している. 本講演では,局所対立仮説における検定統計量の分布のオーダー n -1/2 までの漸近展開公式を導出し,それを用いてクラス内の検定の検出力を漸近的に比較する.sphericity 検定の場合,ある条件下ではオーダー n -1/2 までの検出力が一致する.その条件下でのオーダー n -1 までの漸近展開を導出し,それを用いてクラス内の検定の検出力を漸近的に比較する.

2009 年 10 月 9 日:

講演者:滝廣 和樹 氏 (広島大・理学研究科)

講演題目:k -平均法によるクラスター分析における最適なクラスター数決定のための情報量規

講演要旨:

k -平均法によるクラスター分析では,クラスター基準を最小にするように最適なクラスター分割が決定される.このとき,あるクラスターから別のクラスターへ対象を移動させたときの変化量によりクラスター基準を最小にする分割を探索する.このような変化量をクラスター基準ごとに計算した結果を紹介する.また,クラスター分析で問題となるのが,最適なクラスターの個数をどのように決めるかということである.AIC を用いて,最適なクラスター数を決定する方法が考えられるが,この場合, 候補のクラスター数を増やせば AIC の値が小さくなり,その結果,最適な個数が最大のクラスター数となってしまい,最適値をうまく決定することができない.そこで,既存の AIC に新たな罰則項を加えた新しい AIC を提案する.また,この新しい規準がうまく機能するかをシミュレーションにより検証する.

2009 年 7 月 24 日:

講演者:若木 宏文 氏 (広島大・理学研究科)

講演題目:非正規母集団に対する二段階標本抽出法

講演要旨:

例えば,正規母集団の母平均の区間推定について, 信頼区間幅を指定した値以下,信頼係数を指定した値以上と なるような標本数を,標本抽出前に知ることは不可能である. Stein は,標本抽出を二段階に分けて,最初の標本から得た 情報を利用して,条件を満たす信頼区間を構成するために必要な 追加標本数を決定する方法を提案した.本講演では,非正規母集団 に対する近似的な二段階標本抽出法について考察する.

2009 年 7 月 3 日:

講演者:加藤 賢悟 氏 (広島大・理学研究科)

講演題目:条件付期待ショートフォールのノンパラメトリック推定

講演要旨:

期待ショートフォールとは金融リスク管理に用いられるリス ク尺度の一つである.本講演では,説明変数が与えられたときの条 件付期待ショートフォールのノンパラメトリック推定を考える.具 体的には,重み付き Nadaraya-Watson 法に基づく条件付期待ショート フォールの推定量を新たに提案し,その漸近分布を導出する.既存 の推定量との比較も行う.

参考文献:Hiroshima Statistical Reseach Group, TR09-03.

2009 年 6 月 19 日:

講演者:永井 勇 氏 (広島大・理学研究科)

講演題目:多変量一般化リッジ回帰モデルにおけるリッジパラメータ最適化法

講演要旨:

多変量一般化リッジ回帰モデルにおけるリッジパラメータ最適化法 講演要旨:線形回帰モデルにおいて, 未知回帰係数の推定には最小二乗法が実際のデータ解析の場面で広く使われている. なぜならば, この推定法により得られる推定量の形が簡潔で未知 回帰係数の不偏推定量であるためである. しかし, 説明変数に相関の高い組が存在する場合, この推定量は大きな分散を持つため, 信用できないことがよく知られている. こ の問題点をさらに回避し, さらに繰り返し計算の不要な推定方法として, 複数のパラメータを新しく導入する, 一般化リッジ回帰による推定がHoerl and Kennard (1970) により提案 された. この推定方法での様々なパラメータの最適化法が提案されている(例えば, Lawless, 1981 参照). これらの最適化法のどれを用いたとしても, 最適化されたパラメータは陽に書けるため, 繰り返し計算が不要である. 本発表では, この一般化リッジ回帰によ る推定を拡張し, 多変量線形回帰モデルへの適用について述べ, パラメータの最適化のための情報量規準とバイアス補正した情報量規準を提案する. また, 一般化リッジ回帰による推定方法で提案され ているパラメータの最適化法の拡張についても述べる. また, これらの最適化法の数値的な比較などを述べる.

2009 年 5 月 29 日:

講演者:柳原 宏和 氏 (広島大・理学研究科)

講演題目:変化係数モデルとしての成長曲線モデル

講演要旨:

各個体について経時的,または異なる条件の下での繰り返し測定・観測されるデータのモデル化の一つとして成長曲線モデルがある.しかしながら,その推定値の解釈は,(1) 各成分が説明変数だけでなく, 時 間共変量の交互作用に対応しているため直感的に理解しにくい, (2) パラメータ数は経時トレンドに関するデザインの次数と説明変数の個数の積となり, 一般的にそれぞれの標準誤差, 有意性などを検討 するには多すぎる, (3) 経時トレンドとしてBスプライン, ガウス基底などの非線形デザインを仮定する場合, 各成分の解釈が意味をなさない, などの理由により解析者にとって負担 となり, 成長曲線モデルを利用する上で大きな障害になっていると思われる. 本発表では,成長曲線モデルと平均構造を, Hastie and Tibshirani (1993) らが提案した変化係数を用いて 再表現し,変化係数モデルとしての成長曲線モデルとその推定法を紹介する.このような推定法により上記の問題点を回避できる.

2009 年 5 月 15 日:

講演者:秋田 智之 氏 (広島大・理学研究科)

講演題目:2群の生存曲線の比較に関する共変量調整付きログランク検定の紹介

講演要旨:

2群の生存時間を比較する場合,ログランク検定が多用されている.しかし,2群が異なる背景要因を持つ場合,検定結果の解釈を誤る危険性がある.今回のセミナーでは,予備知識として生存時間解析の基礎を解説した後,そのような場合に有効な検定方法として,背景要因の効果を考慮に入れたログランク検定の拡張を紹介し,実データに適用し従来法との比較を見る.


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