先端研究拠点事業[広島大学18005]の2010年度辞退について                  コーディネータ 松本 眞  本事業の実施期間は、学術振興会の審査を経て3年の延長が 認められ、2006-2011年度(H17-H22年度)を予定していました。  本事業につきましては、学術振興会の多大なる援助、並びに国内外の メンバーの協力により順調に国際交流が進み、事業の知名度も上がり 研究成果も出て、安定した国際協力体制が整ってきたところと思っております。 特に、日本の若手研究者(特に大学院生)を海外のセミナーに多数派遣した 結果、若手研究者が国際的な関係を持ち、若手自身の研究能力の向上はもちろん、 将来的にも持続される国際研究協力ネットワークが構築されてきたと 考えております。 しかるに、私が広島大学から東京大学に転出することが、2009年10月に 確定しました。私の異動後、本事業に関して従来と同等の体制がとれるか どうかを検討しておりました。 本事業の性質は、各国研究拠点を中心(Core)とした国際研究交流拠点 を形成するというもので、日本側では広島大学を中心とした持続的な 拠点を形成するものです。本事業は大学が学術振興会と契約して執行 される事業であり、実施主体は大学となります。 広島大学側、広島大学数学専攻、学術振興会と協議いたしましたところ、 ・現在の段階で、持続的国際研究協力体制はある程度すでに構築されている ・私の異動のあとで、広島大学を中心として現在のペースで  研究拠点形成事業を発展させることは難しい という理由により、国際交流・若手育成などの成果が大きく上がっている ところで甚だ残念ではありますが、最終年度である2010年度については 本事業を辞退するという結論に至りました。 学術振興会、国内外拠点・協力機関・参加メンバーには大変なご迷惑を おかけすることとなり、また、コーディネータの責にある身でありながら 甚だ勝手なことで身が縮む思いですが、なにとぞご了承賜りますよう お願い申し上げます。 なお、本事業は海外からも高く評価され、「一年短くなるのも大変 残念だ」「また同じ事業に応募できないか」という意見を多数聞いて おります。 さきほどまで参加していたFontaine Conferenceでも、フランス側 コーディネータJean-Marc Fontaine教授、イタリア側コーディネータ Bruno Chiarelotto教授らと直接話し、 「是非、同じような国際協力事業を続けたい」 という意見を聞いたところです。 2010年3月27日 松本 眞  (at パリ、本事業共催セミナー 「Fontaine Conference」出席直後 記)