数学通論 II （2007年度後期）

• 概要
• 資料
• 進行状況
• 中間試験
• 期末試験
• 講義を終えて

概要

• 距離空間の「開集合」という概念に着目してそれを抽出したものが位相空間である. この講義では位相空間を定義し, 距離空間に対して定義されていた概念（連続写像・コンパクトなど）を, 位相空間に対しても定義しその諸性質を調べる.
• キーワード: 位相空間・連続写像・コンパクト・オイラー数.

資料

• 配布したプリントはこちら: [ pdf (176KB) ].
• 上のプリントは, 数学通論 I で配布したプリントの続きです. プリントの前半部分（距離空間を扱っています）が欲しい方は, 数学通論 I のページ から入手して下さい.
• 集合・写像・論理記号に関する勉強したい方は, 教養ゼミのページ に演習問題のプリントがあります.
• 中間試験問題（12/18 実施）はこちら: [ pdf (47KB) ].
• 期末試験問題 (01/29 実施) はこちら: [ pdf (51KB) ].

進行状況

1. (10/09) 概要説明, 位相空間の定義.
2. (10/16) 近傍系, 閉集合.
3. (10/23) 連続写像.
4. (10/30) コンパクト空間.
5. (11/06) 連結空間.
6. (11/13) 連結空間（続き）, 弧状連結.
7. (11/20) 開基と積位相.
8. (11/27) 開基と積位相（続き）.
9. (12/04) 開基と積位相（続き）, 商位相.
10. (12/11) 分離公理, 可算公理.
11. (12/18) 中間試験.
12. (01/08) 単体的複体.
13. (01/15) 単体的複体（続き）, オイラー数.
14. (01/22) 基本群.
15. (01/29) 期末試験.

中間試験

• 実施日時: 12/18(火)10:30-12:00.
• 試験問題はこちら: [ pdf (47KB) ].
• 受験者数：60 名
• 平均点：69.72 点 (140点満点)
• 得点分布：

  130〜140 : 4: ****
  120〜129 : 3: ***
  110〜119 : 4: ****
  100〜109 : 6: ******
   90〜 99 : 4: ****
   80〜 89 : 5: *****
   70〜 79 : 4: ****
   60〜 69 : 9: *********
   50〜 59 : 1: *
   40〜 49 : 4: ****
   30〜 39 : 3: ***
   20〜 29 : 6: ******
   10〜 19 : 4: ****
    0〜  9 : 3: ***
  

期末試験

• 実施日時: 01/29(火)10:30-12:00.
• 試験問題はこちら: [ pdf (51KB) ].
• 受験者数：56 名
• 平均点：80.32 点 (140点満点)
• 得点分布：

  130〜140 :  4: ****
  120〜129 :  4: ****
  110〜119 :  4: ****
  100〜109 :  1: *
   90〜 99 :  7: *******
   80〜 89 : 10: **********
   70〜 79 :  3: ***
   60〜 69 :  9: *********
   50〜 59 :  6: ******
   40〜 49 :  4: ****
   30〜 39 :  1: *
   20〜 29 :  1: *
   10〜 19 :  1: *
    0〜  9 :  1: *
  

講義を終えて

概要:

• 本講義では, 12月までは, 通常の位相空間論で扱う標準的な事柄を解説した (連続写像, コンパクト, 連結, 弧状連結, 開基, 積位相, 商位相, 分離公理, 可算公理など).
• 1月に入ってからは, 多少発展的な内容に関する簡単な解説を行った (単体的複体, オイラー数, 基本群など).
• 講義時には, 内容をまとめたプリントを配布した. 教科書は特に指定していないが, 参考書として次の 2 つを挙げた: 「集合と位相」 (鎌田 正良(著), 近代科学社, 1989), 「トポロジーと幾何学入門」 (I.M.シンガー, J.A.ソープ 共著, 培風館, 1980).

試験:

• 本講義では, 中間試験と期末試験を行った. 中間期末いずれも 140 点満点で, 平均はそれぞれ約 70 点, 80 点だった. これは, 当初の想定よりも遥かに高い.
• 試験問題の大部分は証明問題である. ただし, 証明に必要な定義などはラフな形で問題に書いておいた (連続とは開集合の逆像が開集合であること, などのように).
• 証明問題以外にも, 直感的な理解を問う証明抜きの問題も少し出題した (内部と閉包を書け, 連結でない空間の例を挙げよ, のようなもの). こちらの方が証明問題よりも簡単だと思っていたのだが, 出来としては寧ろ逆であった. 地図を読んで目的地に行くのと, 方向感覚で行くのと, どっちが簡単か, というのと同様だろうか.
• 上記に加えて, 試験には自由問題 (自分で考えてきた問題とその解答を書け, という問題) を入れた. 試験勉強でヤマをはることを推奨するための出題である (自由問題を出題することは事前に予告した). これは勿論, どうやって試験勉強をすべきかよく分からない, という学生に向けた出題である. しかし結果的には, 成績的に上位の学生に過剰な負担を掛けてしまったような気がしている (試験の点数が想定以上に高かったので, 自由問題を落とすと S は取れない, という結果になってしまった. どうすべきなのかは今後の課題). あと, 自由問題は採点にやたら手間がかかった.

成績:

• 成績は, 基本的に中間試験と期末試験の点数によって付けた. 成績分布は以下の通りとなった: S: 7名, A: 11名, B: 13名, C: 16名, D: 7名, Z: 12名.
• 成績 S は, 試験の点数が 9 割以上だった学生のみに付けた. それだけで 7 名にもなるというのは, 嬉しい誤算であった.
• 一方で, そもそも試験を受けることを諦める学生も多かったように思えた.
• 単位取得のための十分条件は, 所定の魔法の公式で点数を換算して 60 点以上になることである. その基準に若干足りない学生は, 救済レポートを課した. 救済レポートを提出した学生の半数くらいは単位を取得した (逆に言うと半分は落ちた).
• 講義中に配布したプリントには演習問題を載せており, 単位取得に不安のある学生はレポートとして提出するように (提出されたレポートは採点して返却する), と言ってあった. が, 実際にレポートを提出したのは, 成績に不安の無さそうな学生が殆どであった. レポートに関しては運用方法を考える必要があるだろう.