談話会アブストラクト(11/24)


「複素力学系のジュリア集合のルベーグ測度」

東京大学大学院数理科学研究科 宍倉光広

 複素力学系においてジュリア集合はその「カオス的」挙動を代表する不変集合であ
る。リーマン球面上で有理関数によって定義される複素力学系については、ジュリア
集合が球面全体にならなければそのルベーグ測度は0になるという予想(クライン群
のアールフォース予想の類似)がある。これは、カオス的な軌道をもつ初期値がどれ
くらい存在するかを問題にしているが、それ以外にも力学系の構造安定性や剛性の問
題とも関連している。この予想は、最も簡単な2次多項式に対しても完全には解決さ
れていない。この講演では、くりこみ不可能な2次多項式の場合の予想の証明と、そ
れに関連したパラメータ集合のルベーグ測度について解説する。

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