●●● 談話会 ●●●

2017年度

第1回

日時: 5月 16日(火) 13:00−14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階B707教室
講師: 中川 義行 氏(大阪産業大学)
題目: 学術研究の倫理と経済社会の倫理
Tea Time: 14:00−
要旨:今回のテーマは,講演者が龍谷大学で行っている講義「現代社会の諸問題」のトピックから,倫理と科学技術に絞って,学術研究に携わる者として知っておいた方がよいと思われる社会変化について述べる. 倫理とは,普遍性のある理詰めの「法則」に基づくものではなく,正義感に関する文化背景やその時代の国民感情などに強く依存せざるをえない「規範」に基づいて構築されるものである.その意味では,倫理は,道徳や宗教と同根の部分を有する.しかし,この根拠の緩やかな倫理の,その最大公約数的な部分が明文化され,さらに罰則まで設けられると法令となって,一定の制約条件を関係者に課すことになる. さて,この頃,科学研究や技術管理の倫理規範について,議論が一部で活発に行われている.だが日本の場合,現場から自然発生的に起こる議論は少なく,マスメディアや世論に誘導されて省庁や組織上部が泥縄式で行っていることが多い.そのため,研究組織維持や経済的利益を重視する人々の倫理観が強く反映された上意下達式の結論が増えている. その状況について,講演者が調べたニュースや法令を中心に,今後発生が予測される倫理逸脱問題や,現場の研究者が無意識のうちに陥りかねない倫理逸脱など,警戒すべきことについて述べる.
講演資料

第2回

日時: 5月 30日(火)13:00−14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階B707教室
講師: 小林 毅 氏 (奈良女子大学)
題目: 折り紙に潜む様々な数学構造
Tea Time: 14:00−
要旨:最近建築学を含むいくつかの研究領域で折り紙,特に平らに折りたたむことのできる平坦折り紙,の研究が進んでいる.人工衛星のソーラーパネルを折りたたむために考案された「ミウラ折り」はこのような平坦折り紙の例になっているが,このミウラ折りの変形版と解釈できる平坦折り紙がこの分野の権威であるR.Langによって提出されている.ところでこのLangの折り紙のパターンはThurstonの3次元多様体の幾何学に関する講義録で導入されている2次元トーラスの相似構造の展開写像の像に似ている.今回はこの話題を中心に折り紙と数学の幾つかの関わりについて紹介したい.

第3回

日時: 6月 6日(火) 13:00−14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階B707教室
講師: Jeffrey Weeks 氏
題目:Visualizing Four Dimensions
Tea Time: 14:00−
要旨:This colloquium will introduce a method for learning to visualize 4-dimensional space, give participants a chance to work on some 4D visualization exercises in small groups, and then present a few solutions using interactive 4D graphics software. The exercises range from elementary to advanced, so everyone from first-year undergraduates to experienced geometers should find something they like.

第4回

日時: 6月 27日(火) 13:00−14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階B707教室
講師: 冨樫 祐一 氏 (広島大学大学院理学研究科)
題目:生物における少数性問題
Tea Time: 14:00−
要旨:生物の活動は主として化学反応によって支えられており、それを数理的に研究する際 には、反応拡散方程式に代表される化学反応モデルがよく用いられる。Turing(1952) 以来、生物の形態形成のモデルとして広く成功を収め、より微視的な細胞内の現象に 対しても応用が進んだ。旧来の反応拡散方程式は、1. 分子が内部状態や個性を持たず 等価である、2. 分子が小さく自由拡散できる、3. 分子の数・密度が高く連続濃度で 表現できる、ということを前提としている。巨視的な形態形成や試験管の中の生化学 反応では、通常これらは問題なく成立する。しかし細胞は、小さな空間に多様で巨大 な分子機械が詰め込まれた系であり、この3つの前提全てがしばしば破綻する。では、 その振舞いは反応拡散方程式とどのように異なるのか。特に、分子の数が少ない場合 の「少数性問題」について、主に確率的シミュレーションを用いて研究を進めてきた。 実験と連携した最近の試みを含め、そのいくつかの例を紹介する。

第5回

日時: 7月 25日(火) 13:00−14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階B707教室
講師: 神本 晋吾 氏 (広島大学大学院理学研究科)
題目:Exact WKB analysis and resurgent analysis
Tea Time: 14:00−
要旨: 完全WKB解析は1983年のA. Voros氏の研究に始まる. その後, 青木貴史氏, 河合隆裕氏, 竹井義次氏による超局所解析的手法を用いた研究や, F. Pham氏, E. Delabaere氏等による Resurgent analysisの手法を用いた研究などを通して発展してきた. 完全WKB解析とは, 一言で表せば, Borel総和法を用いたWKB解析のことであるが, 近年, 数理物理への応用から大きな注目を集めている. 本講演では, 完全WKB解析の基本的な事柄から解説し, 今後の課題について議論したい.

第6回

日時: 10月 3日(火) 13:00−14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階B707教室
講師: 中田 寿夫 氏 (福岡教育大学)
題目:ペテルスブルグのゲームの分布の極限定理
Tea Time: 14:00−
要旨: 「ペテルスブルグのゲーム」はD. Bernoulli (1738) によって 提唱された確率論の古典的問題である。期待値が発散することにより パラドックスとして知られており、その解消に向けて多くの研究者に よって議論されている。本講演では、まず、ペテルスブルグのゲームの 歴史的な背景を簡単に説明する。その後、期待値が発散することに 加えて分布の裾確率が非正則変動であるという困難点について述べる。 それを克服すべく、独立同分布の確率変数の和や最大値の分布を収束 させるためにいくつかの工夫が近年になって報告されているが、その 一部を紹介する。


2016年度以前


Last Update: 2017.7.13
談話会委員 川下, 岩田, 高橋, 神本, 橋本

大学院理学研究科数学専攻