●●● 談話会 ●●●

2013年度

第11回

日時: 1月14日(火) 13:00−14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階B707教室
講師: 河村 尚明 氏 (広島大学理学研究科)
題目: 簡約代数群上の保型形式のp進解析族の構成とその応用について
Tea Time: 14:00−
要旨:
簡約代数群上に定義される保型形式は,それに付随する L函数(ゼータ函数)を通して,整数論・数論幾何学における 様々な問題と関係することが知られている。本講演では, 一般線型群GL(2)の場合に肥田晴三氏,Andrew J. Wiles氏等 によって導入された``p進解析族''と呼ばれる,或る素数pを 法とした合同関係式によって互いに関係する保型形式達から なる無限族の構成法と,その岩澤理論等への応用について 概説した上で,より一般に,分裂シンプレクティック群Sp(2n)や 準分裂ユニタリー群U(n,n)等の代数群上に定義される保型形式 に対して,ある種のp進解析族の構成法とその応用について解説する。

第10回

日時: 12月17日(火)13:00−14:00
場所: 大学院理学研究科 B707教室
講師: 斎藤 睦夫 氏 (広島大学理学研究科)
題目: F_2 線形疑似乱数生成器開発ツールについて
Tea Time: 14:00−
要旨:
科学技術計算シミュレーションに使用される疑似乱数生成器について述べる。 実用的な疑似乱数生成器に要求される性能について述べ, 二元体(F_2)に基づく疑似乱数生成器の優位性を説明する。 メルセンヌツイスタなどの疑似乱数生成器の開発の概略を説明し, 疑似乱数生成器を開発するためのツールMTToolBoxを紹介する。 後半は主にMTToolBoxの使い方を説明する。

第9回

日時: 11月26日(火)13:00−14:00
場所: 大学院理学研究科 B707教室
講師: 芦野 隆一 氏 (大阪教育大学教育学部)
題目: ウェーブレット解析によるブラインド信号源分離
Tea Time: 14:00−
要旨:
複数個の信号の未知の線形和を複数個観測し, その複数個の観測信号から元の信号を推定する逆問題をブラインド信号源分離と いう。 本講演では, ウェーブレット解析について簡単に概観し, その応用として, ウェーブレット解析を使った音声信号(1次元データ)と画像(2次元データ)の ブラインド信号源分離ついて述べる。

第8回

日時:11月12日(火)13:00−
場所:大学院理学研究科 B707教室
講師:山根 英司 氏 (関西学院大学理工学部)
題目:離散非線型シュレーディンガー方程式の漸近解析
Tea Time: 14:00 --
要旨:
離散非線型シュレーディンガー方程式の非線型項をうまく選べば 可積分となる。すなわち,「非線型フーリエ変換」(逆散乱変換) によって厳密に解ける。さらに,非線型鞍点法によって, 時間無限大での解の漸近挙動が分かることを説明する。

第7回

日時:10月29日(火)13:00−
場所:大学院理学研究科 B707教室
講師:野村 隆昭 氏 (九州大学数理学研究院)
題目:等質開凸錐と基本相対不変式
Tea Time: 14:00 --
要旨:
正定値実対称行列のなすリーマン対称空間(対称錐)での 解析において,principal minors の果たす役割は大きい. この principal minors の相対不変性に注目して一般化した ものが,等質開凸錐に付随する基本相対不変式である. 伊師英之氏による基本定理から始めて,中島秀斗氏や 山崎貴史氏による基本相対不変式に関する最新の結果まで, 様々な例も含めて,研究の流れと現状を紹介する.

第6回

日時: 7月9日(火) 13:00 -- 14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階 B707教室
講師: 今野 紀雄 氏 (横浜国立大学工学研究院)
題目: 量子ウォークのユニヴァーサリティ
Tea Time: 14:00 --
要旨:
量子ウォークは,ランダムウォークの量子版として 新世紀の幕開けとともに本格的に研究が始まった新しい研究分野である。 このモデルは,出発点に留まり続けるだけでなく線形的にも広がるような, ランダムウォークとは異なる様々な挙動を示し,量子コンピュータへの 応用など色々な分野で着目されている。 本講演では,量子ウォークに関して概説するとともに, 我々が提案した量子ウォークのユニヴァーサリティについて紹介したい。

第5回

日時: 7月3日(水)14:35 --
場所: 広島大学理学部 E 棟 2 階 E210 教室
講師: 石原 秀至 氏 (東京大学総合文化研究科)
題目: 個体発生における力学的制御: 細胞の六角配置を促進する仕組み
要旨:
多細胞生物の個体発生過程では,からだのかたちづくりのために大変形がおこる。 多くの分子の発現や活性がわかりつつあるが,この変形を正しく駆動する機械的 な力の動態についてはまだまだ理解が少ない。特に,細胞集団内の力を定量的に 見積もる測定手法がないことが,発生の力学的制御の理解を阻んできた。我々は 細胞の形態から細胞集団内に働く力を推定する手法を開発し,この問題に取り組 んでいる。ショウジョウバエの翅形成に見られる細胞の六角格子化を解析し,細 胞のパターニングを駆動する力学的な新奇メカニズムを報告する。

第4回

日時: 6月18日(火) 13:00 -- 14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階 B707教室
講師: Ken Baker 氏 (University of Miami)
題目: Non-unique knot surgery descriptions
Tea Time: 14:00 --
要旨:
 Every (closed, compact, connected, oriented) 3-manifold admits infinitely many descriptions as surgery on a link in the 3-sphere. However this is not necessarily the case if we restrict ourselves to links of one component, i.e. knots. Aside from more straightforward obstructions such as homology, it is not readily apparent when a manifold even admits a surgery description on a knot. In this talk we'll survey the history of constructions of manifolds with multiple knot surgery descriptions and reexamine its relevance in modern Low Dimensional Topology.

第3回

日時: 6月4日(火) 13:00 -- 14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階 B707教室
講師: 川原田 茜 氏 (広島大学理学研究科)
題目: 多次元セル・オートマトンの位相力学系の特性による分類にむけて
Tea Time: 14:00 --
要旨:
 本講演ではある非線型な多次元セル・オートマトンについて得られた 位相的エントロピーに関する結果を紹介する。セル・オートマトンは 記号列空間においてシフト写像と可換になるような 連続写像として定義され, 一次元セル・オートマトンは記号力学系との対応から得られる結果が 多く知られている。 しかし多次元セル・オートマトンに関しては先行研究が少 ないため, 重要な例を取り上げてその特性を調べた。

第2回

日時: 5月21日(火),13:00 -- 14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階 B707教室
講師: 伊藤 稔 氏 (鹿児島大学理工学研究科)
題目: Cayley-Hamilton型定理と不変式論
Tea Time: 14:00 --
要旨:
 不変式論の第二基本定理が Cayley-Hamilton 定理の類似物で記述できるような不変式環の系列について報告する。不変式論の第一基本定理(生成元の記述)や第二基本定理(生成元のあいだの関係式の記述)が具体的に書き下せるような不変式環は多くない。 しかし古典群の作用に関するある系列の不変式環は,その第二基本定理が Cayley-Hamilton の定理やそのいくつかの類似物 (たとえば阿賀岡芳夫 (1987), Djokovic (1991), 伊藤 (2001) によるもの) で記述できる。

第1回

日時: 4月23日(火),13:00 -- 14:00
場所: 広島大学理学部B棟7階 B707教室
講師: 平田 賢太郎 氏(広島大学大学院理学研究科)
題目: 非線形不等式を満たす優調和関数の境界挙動
Tea Time: 14:00 --
要旨:
 ポテンシャル論分野では,調和関数などの境界付近での挙動に関して多くの研究がなされてきた。例えば,「単位円板上の有界調和関数は境界の殆ど至る所で有限な非接極限をもつ」はFatouの定理として良く知られている。本講演では,境界挙動に関する歴史を紹介し, 非線形不等式を満たす優調和関数に関する幾つかの結果を解説する。

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